サクラエディタに VZ Editor (以下,Vz と表記) の機能のいくつか (と追加で細かい機能) を実装するプロジェクトです.現在以下の機能が追加されています.下記以外の細かい修正点は issues を参照してください.
機能の on/off を GUI で設定する機能はありませんので,sakura.ini
を直接編集してください.本 fork のビルドでは,デフォルトで全て有効になっています.
最新バイナリは GitHub Actions の Artifacts にあります (運が良ければ).
- テキストスタック
- 改行をまたぐ検索・置換
- ファイルオープンの高速化
- 方向感応式の行単位・文字単位選択切り替え
- 「ラインモード貼付けを可能にする」の対象コマンドを拡大
- 改行混在を許可しないモード
- 直前の置換を再実行
- 他アプリで編集されたときの問い合わせダイアログボックス抑制
- JavaScript ファイルを共通にするためのマクロ関数
- カーソル位置に関するマクロ関数
- 検索・置換ダイアログのオプション,デフォルトボタンを固定できるパラメータ追加
- コマンドラインオプションでGREP置換ダイアログ呼び出し
- クリップボードにデータを格納するコマンドはすべて,テキストスタックに PUSH 動作を行います.
- クリップボードからデータを貼り付けるコマンドはすべて,テキストスタックからの POP 動作を行います.
- 「貼り付け(スタックPOPなし)」コマンドを追加しています (マクロ命令:
CopyPaste()
).Vz で Shift+F8 に割り当てられていた機能です.
sakura.ini
: bVzModeEnableTextStack=1
で有効になります
正規表現で改行をまたぐ検索・置換に対応しました.
- 検索の「該当行マーク」でマッチ結果が改行をまたぐ場合,先頭行のみマークされます.
- 検索でマッチ結果が改行をまたぐ場合,検索ヒット位置 (つまりカーソル位置) 以外は色付けされません.
- Grep 検索の結果出力が「非該当行」の場合,改行をまたぐ検索はできません.
- アウトラインの正規表現,正規表現キーワード では改行をまたぐ検索はできません.
また検索・置換の仕様を以下のように変更しています.
- 正規表現エンジンとして PCRE2 を内蔵しています.bregonig.dll 等の外部 DLL は使用できません.
- サクラエディタ標準の「単語単位で検索」仕様は削除されました.正規表現を使用してください.
- 上記に代わり Vz 互換の「単語単位で検索」仕様を追加しました.
*
で単語境界のチェックをキャンセルします.- 例:
AB*
で,AB から始まる単語にマッチします
- 例:
- 置換の「置換対象」は削除されました.正規表現を使用してください.
- 置換の「すべて置換は置換の繰り返し」は削除されました.
特に大きなファイルで,ファイルオープンを高速化しました.
- 一部の処理に並列処理を導入しました.
- 巨大なファイル (10MB 以上,設定可能) では高速モードになり,一部の機能を制限することにより更に高速化します.高速モードでは,以下の動作に制限が入ります.
- 折り返し設定は 5120文字で固定され,他の折り返し設定は使用できません.全角・半角にかかわらず 5120文字なので,全角・半角が混在する文書では折り返し位置が揃わないことになります.
- ブロックコメントや文字列リテラル等の一部のカラーリングが,不正確になります.
400MB, 1000万行のファイルオープンに要する時間 (秒) は以下のとおりです.(使用 PC: AMD A8-7670K (4スレッド) Mem:8GB)
折返し設定 | Sakura本家 v2.4.0.2219 | SakuraVz (非高速モード) | SakuraVz (高速モード) |
---|---|---|---|
折返さない | 32.9 | 26.3 | 5.4 |
右端で折返す | 50.1 | 25.7 | 5.4 (強制的に折返さない) |
sakura.ini
: nVzModeLargeFileSize
にファイルサイズ (MB単位) を設定することにより,このファイルサイズ以上のファイルは高速モードでオープンします.nVzModeLargeFileSize=0
で高速モードは無効になります.
選択中にカーソル移動 または マウスドラッグによる選択で,↑↓で行単位の選択,←→で文字単位の選択に切り替えます.
sakura.ini
: nVzModeSelectMode=1
で有効になります
以下の,行単位の Cut or Copy を行う操作に対し,共通設定→編集→ラインモード貼付けを可能にする オプションの設定が反映されるようになりました.
- 選択中にカーソル↑↓
- マウス操作による行選択
- メニューの編集→高度な操作→範囲選択内全行~コピー
標準では一つの文書内で CRLF, LF, CR 等の改行コードを混在させることができますが,メニューの 設定→共通設定→編集→改行コードを変換して貼り付ける を有効にすることで,改行コードの混在を許可しないモードになります.これにより,挙動が以下のように変更されます.
- 開いたファイルは,エディタ内部ですべて LF に統一され,保存時に元の改行に統一してから保存します.これにより,
- 正規表現やマクロの
InsText()
で改行を示す文字列は,ファイルの改行コードによらず,(\r\n
等ではなく )\n
に統一されます. - メニューの「入力改行コードの指定」,マクロの
GetLineCode()
,ChgmodEOL()
は,入力時の改行コードではなく,保存時の改行コードの設定・取得になります.入力時に LF 以外を入力することはできません.
- 正規表現やマクロの
- 貼り付け時に,クリップボードに格納された文字列は,改行コードが LF に統一されてから貼り付けられます.
- コピー時にクリップボードに格納される文字列は,改行コードが CRLF に統一されます.
- 改行が混在している (例:
InsText( "\r" )
を実行した) ファイルを保存する場合,ユーザに問い合わせすることなく,設定された改行コードに統一してから保存します.
直前の置換を再実行する機能 (Vz で Shift+F7) を追加しました.ReplaceAll()
で,引数が 0 個のとき,直前の置換条件で置換を再実行します.
コマンドではなくマクロ関数として実装されていますので,キーに割り当てるためには次のマクロを組む必要があります.
ReplaceAll();
オープン中のファイルが他アプリで変更されたとき,サクラエディタで未編集状態であれば,問い合わせなしで再読込するオプションを追加しました.
sakura.ini
: bVzModeNoAskWhenFileUpdate=1
で有効になります
標準では 1マクロ = 1 JavaScript ファイル ですが,マクロファイル管理の容易化のため,1 JavaScript ファイルを複数のマクロ・プラグインで共有することができる仕組みを追加しました.
- 実行中のマクロ情報を取得する関数
GetMacroInfo( mode )
を追加しました.mode
には以下の値のいずれかを指定します.- 0: 「共通設定」→「マクロ」の「マクロ名」に設定された文字列を取得します.
- 1: 「共通設定」→「マクロ」の「番号」を取得します.
- 2: 「共通設定」→「マクロ」の「ファイル名」を取得します.
- プラグインとして呼ばれたときのジャック名を取得する関数
Plugin.GetPluginInfo( 0 )
を追加しました.引数は 0 を指定してください.
以下のようなマクロを組むことで,1つの *.js ファイルを複数のマクロで共有することができます.共通設定→マクロ の設定で,「マクロ名」に Hoge
または Fuga
を指定し,ファイル名は同じものを指定します.
var FuncTable = {};
// 個別のマクロ
FuncTable.Hoge = function(){
MessageBox( "Hoge" );
}
FuncTable.Fuga = function(){
MessageBox( "Fuga" );
}
// DocumentOpen プラグイン
FuncTable.PluginDocumentOpen = function(){
MessageBox( "Plugin: DocumentOpen" );
}
// 個別のマクロにジャンプ
var FuncName = typeof( Plugin ) != "undefined" ?
"Plugin" + Plugin.GetPluginInfo( 0/*JackName*/ ) : GetMacroInfo();
if( FuncTable[ FuncName ]) FuncTable[ FuncName ]();
else throw new Error( "見つかりません: " + FuncName + "\nfile:" + GetMacroInfo( 2 ));
カーソル位置に関するマクロ関数を追加しました.
GetCursorPosX()
: カーソル位置の行頭からのレイアウト桁位置 (行頭 = 0) を返します.GetCursorPosXLogic()
: カーソル位置の行頭からの論理桁位置 (行頭 = 0) を返します.GetCursorPosY()
: カーソル位置のファイル先頭からの表示行位置 (先頭行 = 0) を返します.GetCursorPosYLogic()
: カーソル位置のファイル先頭からの論理行位置 (先頭行 = 0) を返します.GetLayoutXWidth()
: レイアウト 1桁分の幅を返します.GetScreenTop()
: スクリーン上端のレイアウト行位置 (先頭行 = 0) を返します.GetScreenLeft()
: スクリーン左端のレイアウト桁位置 (行頭 = 0) を返します.GetCursorChar()
: カーソル位置の 1文字を取得します.IsCursorEOL()
: カーソル位置が EOL の場合,非 0 を返します.IsCursorEOF()
: カーソル位置が EOF の場合,非 0 を返します.MoveTo( line, col [, sel] )
: レイアウト座標 line 行,col 桁に移動します.sel に 1 を指定した場合,選択状態を維持します.MoveScreen( line, col )
: 画面表示の左上が line 行,col 桁になるようにスクロールします.
SearchDialog( mode )
, ReplaceDialog( mode )
に引数を追加しました.mode には以下の値のいくつかを |
で繋げて指定します.
- 0x00000001 / 0x00000002:「単語単位で探す」チェックボックス クリア / セット
- 0x00000004 / 0x00000008:「英大文字と小文字を区別する」チェックボックス クリア / セット
- 0x00000010 / 0x00000020:「正規表現」チェックボックス クリア / セット
- 0x00000040 / 0x00000080:「見つからないときにメッセージを表示」チェックボックス クリア / セット
- 0x00000100 / 0x00000200:「検索 (置換) ダイアログを自動的に閉じる」チェックボックス クリア / セット
- 0x00000400 / 0x00000800:「先頭(末尾)から再検索する」チェックボックス クリア / セット
- 0x00001000 / 0x00002000:「クリップボードから貼り付ける」チェックボックス クリア / セット
- 0x10000000:「上検索」ボタンをデフォルトにする
- 0x20000000:「下検索」ボタンをデフォルトにする
- 0x30000000:「該当行マーク」ボタンをデフォルトにする
- 0x40000000:「置換」ボタンをデフォルトにする
- 0x50000000:「すべて置換」ボタンをデフォルトにする
- 0x60000000: 検索ダイアログにおいて「上検索」「下検索」が押されたとき,検索条件のみセットし,検索動作は行いません.
- 0x70000000: 検索ダイアログを表示せず,カーソル位置の単語を検索語に設定します.
コマンドラインオプションで,-grepdlg
と -grepr=
オプションを同時に指定することで,GREP 置換ダイアログを呼び出せるようになりました.
例:
sakura.exe -grepmode -grepdlg -GREPR="a"
以下は,サクラエディタ本家の README になります.本 fork には適用されない情報もありますので,ご了承ください.
- Sakura Editor
A free Japanese text editor for Windows
Project(カンバン)運用を始めます。
開発ポリシーを以下にまとめていきます。開発にご参加いただける方はこちらご参照ください。
https://github.com/sakura-editor/sakura/wiki
Sakura Editor をコンパイルするためには、 Community または Professional エディション以上の Visual Studio 2017 または Visual Studio 2019 が必要です。
正式バイナリは Visual Studio Community 2017 でビルドされます。
- Windows 10 SDK
Visual Studio 2017/2019 の両対応に関しては #866 で対処済みです。
仕組みに関してはこちらを参照
Sakura Editor のコンパイルに必要なコンポーネントを Visual Studio 2017/2019 にインストールするために .vsconfig という設定ファイルを用意しています。
#1162 で .vsconfig というファイルを sakura.sln と同じディレクトリに配置しています。
vs_community__XXXXX.exe
でインストールする際に、--config オプションをつけてインストールする。
あるいは構成変更することにより、必要なコンポーネントを自動的にインストールします。
vs_community__XXXXX.exe --config <.vsconfig のファイルパス>
sakura.sln
と同じディレクトリに .vsconfig が存在するので、
Visual Studio 2019 で sakura.sln
を開くと必要なコンポーネントが足りない場合、インストールを促す表示が出るので、インストールをクリックすると自動的にインストールする。
- How to extract currently installed Visual Studio component IDs?
- Configure Visual Studio across your organization with .vsconfig
- インストール構成をインポートまたはエクスポートする
- コマンド ライン パラメーターを使用して Visual Studio をインストールする
- 不足しているコンポーネントを自動的にインストールする
- 7Zip のインストールして 7z.exe へのパスを通します。
- Visual Studio で
sakura.sln
を開いてビルドします。
詳しくは こちら を参照
こちら を参照してください。
azure-pipelines.md でビルドの仕組みを説明しています。
AppVeyor では、 build-all.bat を使用してビルドを行っています。 ビルドに使用されるバッチファイルについては build-batchfiles.md を参照してください。
これ
を読んでからご利用ください。
x64 版は alpha 版
です。
対応中のため予期せぬ不具合がある可能性があります。
- https://ci.appveyor.com/project/sakuraeditor/sakura/branch/master にアクセスする
- 右端にある
Jobs
をクリックします。 - 自分がダウンロードしたいビルド構成 (例:
Configuration: Release; Platform: Win32
) をクリックします。 - 右端にある
ARTIFACTS
をクリックします。 - 自分がダウンロードしたいものをクリックしてダウンロードします。
- (ユーザー用) 末尾に
Exe
がついてるのが実行ファイルのセットです。 - (ユーザー用) 末尾に
Installer
がついてるのがインストーラのセットです。 (すべて欲しい人向け)(#514 の軽減のため無効化中)All
がついてるのがバイナリ、インストーラ、ビルドログ、アセンブラ出力のフルセットです。- (開発者用) 末尾に
Log
がついてるのがビルドログのセットです。 - (開発者用) 末尾に
Asm
がついてるのがアセンブラ出力セットです。
- (ユーザー用) 末尾に
以下から取得したいビルドを選択後、同様にしてダウンロードできます。
https://ci.appveyor.com/project/sakuraeditor/sakura/history
こちら を参照してください。
- 変更履歴は CHANGELOG.md を参照してください。
- 最新の
CHANGELOG.md
は ここからダウンロード できます(Markdown をローカルで確認する方法 で説明している手順でローカルで確認できます)。 CHANGELOG.md
は PullRequest から自動的に生成しています。- 具体的には github-changelog-generator というソフトを使用して changelog-sakura のリポジトリで appveyor で生成しています。
- 詳細は wiki の CHANGELOG.mdについて をご覧ください。
こちらでマクロのサンプルを提供してます。
もしサンプルを作ってもいいよ~という方がおられましたら PR の作成お願いします。
- CodeFactor を利用しています。
- cpplint.py で cpp のスタイルのチェックを行っています。